源氏物語はぜんぶで54帖。その第1帖「桐壺」の巻のざっくり現代語訳です。
源氏物語の主人公、光源氏が0歳から12歳くらいの頃のお話です。
もくじ
桐壺(きりつぼ)登場◆この愛、罪なんですかね? やっぱり◆
桐壺(きりつぼ)という、今をときめく、めちゃめちゃ可愛い女の子がいました。でも桐壺は、そんなに身分も高くないし、パパもママもあんまり偉くないし、お金もないし、なんか普通でした。
でも可愛いから天皇から愛されてました。
天皇はごはんの時も桐壺、遊ぶときも桐壺、寝るときも桐壺、歯磨きするときも桐壺、仕事おわったら桐壺、むしろ仕事もしないで桐壺。
桐壺は元気が良くてサバサバしてるタイプじゃなくて、優しくておとなしい感じの子です。
あと、これ大事なことなんですが、天皇はまぁまぁギリでイケメンです。
そんなわけで桐壺は、周りから嫉妬されます。
女の子A「桐ちゃん、普通のくせに、なんかムカつく」
女の子B「すげー偉い人とかなら分かるけど、可愛いってだけで天皇に愛されまくってるとか、あざといやろ」
女の子C「桐壺にウ〇コ踏ませようや」
当時は水洗トイレとか無いので、みんなウ〇コは手動で片付けてました。片付けるの面倒だし、桐壺の通りそうな場所にウ〇コをばらまくのもカンタンです。
桐壺が天皇のところへ行くときに通る廊下に排泄物をまくっていうハードな内容だよ。源氏物語の世界では洋服じゃなくて着物、それもぞろぞろ布を引きずる着物だから、ダメージが大きいみたい。
やがて桐壺と天皇の間に赤ちゃんが生まれます。
日本の未来をなんとかしてくれそうな、すごい赤ちゃんでした。
見た感じも、超絶イケメンに育ちそうなオーラ出まくりです。
さらにパパが天皇なので、どちゃクソ偉い血筋です。
赤ちゃん貴族でございます。
桐壺はヤバいイジメを受け過ぎて、病気になってしまいました。
そこで天皇と一緒に皇居みたいな広いすげー場所に住んでたけど、実家に帰って静養することにしました。実家に帰ればイジメる人たちもいないし、桐壺のママもいます。
天皇「桐ちゃん、実家に帰らないで。大好きだし、いなくなったら寂しいよ」
桐壺「もう体が限界で、マジ死にそうなんで」
天皇「死ぬときも一緒だよ。一人で行かないで!」
物語の世界では美人はきまって短命なものです。
そうは言っても本当に死にそうだったので、桐壺は実家に帰りました。
だけど治療もむなしく、桐壺は死んでしまいました。
桐壺のママ「お葬式で桐壺の死体を燃やしてるんやけど、私も煙になりたいくらい」
女の子A「桐ちゃん死んじゃったけど、ま、今思えば、けっこうイイヤツだったよね」
やがて秋がきて、天皇のお使いの人が桐壺のママを訪ねてきました。
天皇のお使いの人「家めちゃくちゃ汚いやん、草ボーボーやし、どしたん?」
桐壺のママ「まだションボリしとるところです。はぁ……なんか長生きしてもしょーがないな。桐壺が産んだ赤ちゃん元気ですか?」
数年後、桐壺のママも死んじゃいました。
桐壺の産んだ子は、もう6~7歳。
小学1年生くらいの年齢になったから、お勉強もはじめたよ! けっこう皇居のみんなに可愛がられました。
ゴリラ系の武士「おーよしよし、ボウズ、お前かわいいな」
いじわる女「よしよしなでなで、ボクちゃんかわいいね」
海外からめちゃくちゃ当たる占い師が来たときのことです。
めちゃくちゃ当たる占い師「将来、この子が天皇になったら日本はマジすげーいい感じになるよ。国民もハッピーになる。この子は天皇になるべき。天皇になる運命なのに、もし天皇にならなかったら不幸になるやろね」
天皇「えっ あー、この子を皇太子にしてあげたいけど、それ無理なんよ」
源氏「占い師さん、お礼にお歌を歌います」
天皇はたくさんの女の人に子どもを産ませています。源氏には母親違いのお兄ちゃんがいるから皇太子にしてあげられないってワケです。
家は長男が継ぐっていう雰囲気あるじゃないですか。長男のほうはママもママの実家も強くて「なんでうちの子が皇太子じゃないの?」って圧かけてくるしね。
藤壺(ふじつぼ)登場◆桐壺と似た、バブみ高き初恋の相手◆
天皇「桐ちゃんが死んだショックからまだ立ち直れん。あー、チクショウ。こんな国、滅べばいいのに」
天皇の家来「桐壺にそっくりな女の子がいますよ」
天皇「そっくりな女の子とかじゃないんだよ。桐ちゃんじゃなきゃダメなの! 桐ちゃんじゃないとやーやーなの!」
天皇の家来「そう言わずに、本当にそっくりなんですよ」
桐壺とそっくりな女の子。それが藤壺(ふじつぼ)です。
天皇「お、おう。けっこう似てるかな。若いころの桐ちゃんっぽい」
死んじゃった桐壺みたいにヤバいイジメにあわないように、天皇は藤壺に高い偉い身分を与えました。権力の効果は絶大です。
女の子A「ひえっ、藤壺様。ははーっ」
女の子B「藤壺様に敬礼!」
女の子C「藤壺様、肩をおもみします」
天皇「桐ちゃんのことは忘れられないけど、藤ちゃんと一緒に過ごすうちに藤ちゃんのことが好きになってきたんだ。我ながらビビるわ。いやー、人間って、悲しい生き物ですねえ」
幼い源氏はいつも天皇と一緒にいました。だから皇居のみんなと知り合いでした。もちろん藤壺とも知り合いです。
天皇「藤ちゃんって、源氏のママにそっくりなんだよ」
源氏「ママぁぁ」
※桐壺は生きていたら二十歳過ぎ、藤壺はまだ十代です。
幸せな時間は早く過ぎてしまうもの
源氏「ああぁぁ、ううぅぅ、ママぁぁ」
天皇「藤ちゃん、藤ちゃん、オギャー」
藤壺「おまえらこそ、よう似てるわ」
源氏と藤壺はわりと歳が近いので、源氏は藤壺のことを好きになりました。
源氏物語は恋の物語と言ってもいいくらいです。そしてこれが源氏の初恋です。
源氏は12歳になり、成人式をすることになりました。
「え? 12歳」って思うかもしれませんが、当時は平均寿命も短いので、世の中がまるごと生き急いでいました。
で、この成人式は髪を切るのが決まりなんだけど、まわりのおじさんが心配してきました
おじさんA「源氏は男の娘みたいに可愛いから、髪を切るのがもったいないなぁ」
でも髪を切ってみると「切ったら切ったで似合うやん」ということになりました。
葵(あふひ)登場◆光源氏みたいなお子ちゃまと結婚なんて恥ずかしいよ◆
成人式のあとパーティーをやっていたら、左大臣が「うちの娘と結婚してくれ」と言ってきて、流れで結婚することになりました。
お嫁さんの名前は葵(あおい)です。
左大臣「源氏ちゃん、かぁーわいい!」
葵上「源氏ってまだ子どもじゃん、あたしってば、こんな子どもと結婚するの!?」
源氏「藤壺ママぁ……」
※源氏は12歳、葵は16歳です。ちなみに藤壺はこのとき17歳です。
源氏は大人になったので、気軽に天皇や女の子たちと会うことができなくなりました。
これは天皇がそばへ呼ばなくなったからなんですが、雰囲気としては子どもなら女子トイレや女湯に入っても許されるけど、大人だと犯罪になるみたいな感じです。
源氏「藤ちゃんのことが、この世界で一番好きだ」
近くて遠い藤壺。もう会えないけど、同じ皇居にいるのでときどき藤壺の声がほのかに聞こえてくる。
そんなわけで、大人になっていつまでも天皇と一緒というわけにもいかず、かつて桐壺が済んでいた部屋をリフォームして、源氏が住むことになりました。
荒れ放題だった桐壺の実家も修理の人たちがリフォームしてくれました。
源氏「せっかく家をきれいにしてもらったんだし、好きな人と一緒に住みたいよ。はぁ……」
源氏はうつくし過ぎて「光る君」と呼ばれるようになりました。光源氏ようやく爆誕です。
このお家が二条院だよ。